小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

トランジションという視点

 溝上先生の新刊。新刊と言うには少し時間が経ちすぎたようにも思うが。学びと成長の講話シリーズの第2巻。今回のテーマは「学習とパーソナリティ」。

 アクティブ・ラーニング(以下、AL)に取り組むとーいや、アクティブ・ラーニングだけではないがー、おとなしい子やおしとやかな子たちが気にかかる。しないといけないことは確実にこなしているのだが、自分から働きかけることは少ない。
 このような子どもの様子が見えると、教師たちは「あの子はおとなしいんだけど、学習はできるので」「まあ、しっかりしてるので、少々おとなしくても大丈夫でしょう」等と話し、大きく問題としない。
 これではいけない、と警鐘を鳴らしているのが本書である。溝上先生が、第1巻からも述べているように、トランジションという視点を念頭に置く必要がある。例に挙げている、おとなしい子もいずれ社会に出る。その時に、「まあ、おとなしいからしょうがないよね」で済まされるのか、という話である。
 当然のことながら、そんなことはない。であるならば、学校教育として彼ら彼女らに何らかの指導を行わないといけない。いや、もちろんおとなしいというパーソナリティを全面否定するわけではない。別におとなしくてもいい。
 だけど、彼ら彼女らが社会に出るということを考えると全面肯定もできない。学校教育では、「ありのままで」と容認するわけにはいかない。そして、理想状態から子どもたちの姿を見て「不備・非力」な点があれば、それが「指導対象」となり、それを指導しないといけない。
 こんなことを考えされられた。微力ながらも自分がいる小さな教室でトランジションリレーを繋いでいけるようにもがきたい。

 

(以前に書いた第1巻の書評も、よければ併せてご覧ください)