小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

インクルーシブ発想の教育

 特別支援教育には自分なりに思いを持っている。でも、小学校に身を置いているということで、自分としては特別支援教育に距離がある、と感じている。だけど、特別支援教育の考え方を小学校に持ち込む、特別支援教育の考え方を持って臨む、ということは考えていきたい、とも思っていた。

  そんな僕の思いにバチっと当てはまる一冊と出会えた。それが、青山先生と岩瀬先生の共著の『インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと?』である。

 読後の感想を一言で表すと「小学校(通常学級)だからこそできるインクルーシブ発想の教育があるのだな」である。

 小学校はそれこそいろいろな子どもたちが通ってくる。もちろん、障害のある子もいる。つまり、多様である。その多様を、これからどう捉え、どう考え、どう実践していくか、というのが大きな課題になりそうだ。

 そこでヒントになりそうなのが岩瀬先生の実践である。本を読むと岩瀬先生が実践されてきた内容を知ることができる。コンテンツとしてパッケージとして知ることができるということは、僕たちにとっては嬉しい。

 だけど、コンテンツやパッケージだけの理解というか、そこだけを読んでいては足りない。その裏にある考え方というか哲学的なものを読もうとしたい。

 岩瀬先生の実践の裏にある考え方というか哲学的なものは、岩瀬先生の言葉で言うと「自分の学びのコントローラーは自分で持つ」になる。そのためには、学びを個別化する必要がありそうだ。そして、個別化は決して子どもたちを孤独化させることではない。そこに緩やかな協同性を持ち込む。協同性を持ち込むことで、青山先生が指摘している、特別支援教育の弱点である「つなぐ・つなげる」ということも射程に入れることができるだろう。

 自分の実践を振り返ると、やはり多様性がなかなか活かせていない。どうしても「みんな同じ」を求め過ぎてしまいがちだ。これは悪いことではないが、善ではない。だから、「学びの個別化」を少しずつでいいから広げていきたい、と思った。

 お二人の対談形式の論述がとても刺激的であったというのはもちろんなのであるが、他の所もとても気になった。それが、サンフランシスコのNew scoolについてのことである。何でもそこでは全員の個別学習計画がを作成しているらしい。これにはとても興味がある。僕は常々「誰にも個別の指導計画を!」と考えていた。その考えに合致する。New scoolの取り組みについても調べていきたいな、と思った。でも、英語は読めないのだけど(笑)。

 とにもかくにも、「インクルーシブ教育」や「学びの個別化」を考える上では必読の一冊である。未読の方は、新年度の前に是非。

インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと? (インクルーシブ発想の教育シリーズ)

インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと? (インクルーシブ発想の教育シリーズ)