小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

チーム教師⑥「見えざる強制力」

 新年度が始まる。新しい学年、新しい教室、新しい子ども、新しい同僚。何だか何でもできる気になってしまう。新年度という響きは不思議な力を持っている。
 新年度というのは、かなり忙しい。準備しないといけないこと、用意しないといけないことがたくさんある。そして、そのどれもが抜け落ちなく進めていかないといけないことばかりである。この時期が一番てんやわんやしている。
 この時に率先して手伝ったり、教えてくれると助かる。特に新任者や経験の浅い者は、とても助かる。チームになるためには、やはりこの忙しい時期こそギブしたい。そういう姿が見られる職場でありたい。
 「もう作ってきたから使ってー」「こんなふうにしたから同じようにやってー」という言葉が職員室で聞こえてきた。チームになっているな、と思われただろうか。僕はこのような言葉を聞き、違和感を覚えた。なぜなら、そこに強制力を感じたからだ。
 確かに時間を割き、何かしら準備して来てくれたということは認める。でも、それは相手のためにではなく、自分のためでしょ。自分が○○のようにしたい、ということを実現するためにして来たということだ。つまり、行動の目的が「チームになる」ではなく、「自分のやりやすいため」に刷り変わっている。
 だから、自分の考えているものとズレが生じると、往々にして「そういうつもりじゃなかったんやけど」という言葉が出てくるのだ。
 まあ、もしかすると本人にとっては鼻からチームになる、ということは意識されていないかもしれないが…。
 新年度だからこそ、このような見えざる強制には敏感になりたい。それは、見えざる強制を強いてしまっていないか、受けていないかということを。前者ならチームになるという目的を改めて考える、後者なら愛せなければ通りすぎることが必要になるだろう。