小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

惚れてまうやろー

 「女子が男子に読んで欲しい恋愛小説№1」と言われた作品である。また、2013年には松本潤上野樹里の主演で映画化もされた作品である。

 広告会社に勤めている冴えない会社員である奥田浩介が中学生の同級生である渡来真緒にひょんなことから再会を果たす。しかも、真緒はやり手の美人社員となっていたのだ。浩介と真緒は中学生時代に同じクラスで、勉強を教える仲であった。こんなシチュエーションに出くわすと、男子なら思わず「惚れてまうやろー!」と叫びたくなるであろう(笑)。予想通り、浩介と真緒は順調に愛を育み、付き合いを始める。そして、駆け落ち同然のような形で結婚まで果たす。

 だが、浩介は幸せな日々を過ごしながら、真緒の秘密を知ることとなる。「全裸で彷徨っているところを保護された」「保護される前までの記憶はない」等。一抹の不安を抱えながらも、幸せな結婚生活を送っていたが、それにも影が差してくる。「大学時代の友達に今生の別れのように惜別の言葉を繰り返す」「両親との旅行で『お父さんとお母さんの子でよかった』と真顔で言う」「用があろうとなかろうと浩介のそばにいたがる」「まとまって髪の毛が抜ける」等、首を傾げたくなるような言動が目立つようになる。そして、遂に真緒は浩介の前から姿を消す。しかも、浩介以外の人の記憶を消して…。

 その後、物語は意外な展開を迎えることになる。それは実際に読んで確認してほしい。ただのベタ甘小説ではないということだけは断言しておこう。そして、読み終わった後に、もう一度読み返し、結末に向かうまでの伏線を探さずにはいられないであろう、ということも断言しておきたい。

 ちなみに、僕は一度読み終わった後、すぐに読み返した。その時は、結末への伏線にマーカーで印をつけながら。そして、全ての伏線を拾い、その伏線だけを読み返し、一人にやにやした(笑)。

陽だまりの彼女(新潮文庫)

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