「EdTech」という言葉を聞いたことがあるだろうか? まだまだ教職員全体に浸透していない言葉であるように思う。しかし、知っている人は一定数いる言葉であるとも思う。知らない人もいるだろうが、そのうちこの言葉は教育界の中心に近いところにいるようになるだろう。そして、誰もが知る言葉になるだろう。
そんな「EdTech」について知る取っ掛かりとして、本書を紹介したい。
著者の佐藤昌宏は、「EdTech」を以下のように説明している。
デジタルテクノロジーを利用した新しい教育や学びは、EdTech(エドテック)と呼ばれています。EdTech(エドテック)の意味は「Education(教育)」のEdと「Technology(技術)」のTechを組み合わせた造語で、デジタルテクノロジーを活用した新しい教育や学び、それを提供するアプリやサービスをいいます。さらに本質的な意味は、デジタルテクノロジーを活用した教育のイノベーションを意味します。
これを読んだだけで毛嫌いするというか受け付けない人もいるのではないだろうか? でも、ちょっと待ってほしい。決して「EdTech」は今までの教育を否定しているわけではない。教師が自らの経験や勘でしていたことを、テクノロジーを導入し、より正確に効率化しようということである。それに、教師の経験や勘というデジタル化できないものは、これからも活かすことができる。
また、「EdTech」という流れは政府の後押しも大きいので、せき止めるのもなかなか難しい。これからの社会は、ソサイエティ5.0を迎える、と言われている。IoTやAIなど最新テクノロジーを活用した便利な社会を迎えることになる。そのためには、教育も変わる必要がある。その文脈の中で「EdTech」が推し進められることとなっているのである。
だけど、学校現場ではなかなか「EdTech」を進めていくための環境が整っていない。やはり、使いたいと思った時すぐに使える状態になっていないと使おうとは思えない。そうなると、「EdTech」を導入しても、結局使われないということにもなりかねない。だから、まずは国や自治体が主導になり、環境整備を進めてもらいたい。
本書には「EdTech」の概略が載っているが、具体的に授業で取り入れている様子がわからない。だから、紹介程度で実際に自分で「EdTech」を使ってみないといけない。もう少し「EdTech」の裾野が広がっていくと、続編として具体的な取り組みが書籍化するのではないか、と思っている。
でも、「EdTech」という言葉や概略を知ろうと思うと、本書は必読の一冊であることは間違いない。