小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

ゆとり世代(さとり世代)として

 「ゆとり教育」とは、知識重視型の教育方針を詰め込み教育であるとして学習時間と内容を減らし、経験重視型の教育方針をもって、ゆとりある学校をめざした教育のことである。そして、「ゆとり教育」を受けた者たちは、後に「ゆとり世代」と揶揄されるようになっていく。

 その「ゆとり世代」のことを言い換えた世代名称として取り上げられるようになったのが、題名にもある「さとり世代」である。「ゆとり」から「さとり」へ言葉が変わるきっかけになったのが、ネットでの書き込みである。

 「ゆとり世代」である者たちが、上の世代から見下げ続けられた世代の反抗として、「さとり」という言葉を生み出したのだ。

 この本では、そんな「さとり世代」の学生たちと、博報堂・若者研に所属している原田曜平(最近は「ZIP!」等多くの番組に出演している)との話し合いというか雑談を基に構成されている。

 だからか、論点があちこちに飛び、かなり拡散してしまった部分はある。だけど、「さとり世代」の考え等を肌感覚で捉えるためには、このような構成で良かったようにも思う。

 雑談の中で、「実は無思考で、選択しなくて良かった時代のほうが楽だった気がする。無根拠に信じられるものがあった時代のほうがよかった気がする。」「良く言えば、客観的。悪く言えば、冷めてる。日本のぼろぼろな状況だけを見て育ってきたので、世の中や大人に過剰な期待を持っていないのかもね。」等の言葉が飛び交う。これには、僕は大いに納得した。

 ゆとり教育の始まりに諸説あるが、僕はどんな区切り方をしても「ゆとり教育」の枠の中に入ることになる。同じ世代の見方・考え方を客観的に捉えることは悪いことではない。そこで、同じところや違うところも見えてくるものだ。また、そこから新たな見方・考え方を構成していくことにつながるのだ、と思う。

 令和という新時代に入ったのだから、「ゆとり教育」というか平成の時代を自分たちの見え方で、自分たちなりの言葉でいいから言語化したい。そんな思いを抱いている。

さとり世代    盗んだバイクで走り出さない若者たち (角川oneテーマ21)

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