小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

アクティブ・ラーニングとは機能概念

 前々から楽しみにしていた一冊が刊行された(と、言いながら刊行されたのは夏のことであるが・苦笑)。確か、刊行される一年前ぐらいにAmazonで予約できたのだが、一向に刊行されなかったように記憶している。だからこそ、余計に楽しみが増していた。

 第一章であり、本のサブタイトルにもなっている「しなやかな学力、したたかな学力」。この章の文章は教育技術の増刊号に載っていたので、既読ではあった。

 まずこの章だけでも読んでもらいたい。僕は初めて読んだ時、思わず唸ってしまった。アクティブ・ラーニング(以下、AL)についてのこと、そしてその改革の意図や社会情勢を加えながら論じていた。こうすればALはいいのではないですか、というHow toは書かれていないけど、それが他のALの論とは違うことをよりはっきりさせていたように感じた。この章は必読です。この章を読んでいないでALについて論じるというのは意味をなさないのではないか、とさえ思っている。

 ここから論を進め、具体的にこうしたらALはより機能するのではないですか、という著者である堀先生の考えも書かれている。ここで僕は「機能」という言葉を使った。それは堀先生の言葉を借りたものである。以下にその個所を引用する。

ALは「活動概念」ではなく、「機能概念」です。現象的に子どもたちがどれだけ賑やかに交流したり議論したりしていても、ALが成功したとは言えません。子どもたちの中に冒頭で挙げた課題の四条件のごとき「深い学び」がどれだけ機能したか、その学びの深まりにALだからこそ生まれた「主体性」や「対話」がどれだけ寄与したか、常にこうした観点で自らの実践が点検される。こうした営みを継続的に続けていくこと以外にAL実践の評価の成否はもちろん、AL実践そのものの成否さえ一概には言えないのです。

  AL導入にあたり、「今までやってきたこともAL」「ALは小・中学校ではすでにやられている」なんて話が出てきていた。全てが間違いだとは思わないが、今まで通りではない。ということは確かだろう。今までやって来たことをALの観点で見直し、再構築していかないといけない。

 そして、その時に忘れてはいけないことはALは「機能概念」だということ。活動しているからALではない、ということ。もちろん、活動がなされるということは大切なことではある。しかし、それがどのように機能しているのか、ということに目を向けないとALにはならない。このことは肝に銘じておかないといけない。

 他にもAL課題の四条件や「主体的・対話的で深い学び」をどう捉えるか等、堀先生の目からいろいろと語られている。

 ALが本格的に導入される前に是非一読をお薦めしたい。お薦めというゆるい言葉ではなく、とにかく読め、とさえ言いたいところである。

アクティブ・ラーニングの条件:しなやかな学力、したたかな学力 (教育単行本)