小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

TAJIRIの考え

 出版の知らせを目にして以来、とても楽しみにしていた本が出版された。それが、今回紹介する『プロレスラーは観客に何を見せているのか』である。

 著者は世界のTAJIRIさんである。僕がWWEを見始めた時には、TAJIRIはスーパースターであった。クルーザー級でヒールとして活躍するTAJIRIの姿を鮮明に覚えている。昔を懐かしむと、その昔の記憶を美化することがある。だけど、それを差し引いても、あの時のWWEクルーザー級はおもしろかった。どうでもいいことだけど、だから僕はSMACKDOWN派です(笑)。

 本書の内容は、TAJIRIWWE時代の話あり。WWE退団後のハッスルの話あり。SMASHの話あり。控えめに言って、かなりおもしろい! プロレスファンには必見。というか、すぐ読んでください! 絶対に後悔しません。

 ここで終わっていると、プロレスファン向けの記事になってしまう(いや、別にそれでもいいのだけど)。教育はどんなものからも学べる。だから、プロレスからも学べる。だから、プロレス教育論なるものを語っているのだ。

 TAJIRIさんの言葉の一部になるが、教育にも活かせるよう感じた言葉を紹介する。

これまで数多くのヒットキャラクターや、それをはるかに上回る大量の不発に終わったキャラクターを目にしてきた。その経験から、「キャラクターの成否を分けるポイントは、もしかするとこれじゃないかな」という僕なりの基準がある。

「プロレスにおけるキャラクターは、その人がもしもと持っている資質を活かしたものでないとうまくいかない」というものだ。

選手独自のキャラクターを強調し、観客にわかりやすく表現していくには、その人本来の資質に沿うものでないと、どうやら魅力が生まれないようなのだ。

ジ・アンダーテイカーやケインといった完全に「魔界の住人」みたいなキャラクターの場合は、それを演じる中身の人も基本的にふだんから無口だったし、亡くなってしまったクリス・ベノワさんのようにストイックキャラだった人は、ふだんの生活もとことんストイックだった。

自分の中にある「資質」を引き出し、観客を魅力するキャラクターにまで昇華させるためには、自分を客観視できなくてはいけない。それが自分では認めたくない「資質」だったとしても、それでブレイクできそうならガッカリせず(あきらめて)、その資質にしたがって独自のキャラクターを確立していくことだ。

  教師も自分のキャラクターを理解することが大切である。それは自分が思っているキャラクターではなく、子どもたちから見えているであろうキャラクターこそが大切なのである。それが、自分では認めたくないものであったとしても。WWEというキャラクター大国でしのぎを削ってきたTAJIRIだからこそ説得力大である。

 また、プロレス教育論でTAJIRIの言葉を紹介していきたい。

 そして、繰り返しになるがプロレスファンのみなさんすぐに買って読みましょう!

プロレスラーは観客に何を見せているのか

プロレスラーは観客に何を見せているのか

  • 作者:TAJIRI
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 単行本