いよいよ新学習指導要領の全面実施が迫ってきている。正直、新学習指導要領が公開になった時よりも熱が下がっている気がする。よくない傾向である。だけど、ここからがいよいよ本番である。実際に現場で「主体的・対話的で深い学び」を実現していくために何をしていくか、どう考えるかということについて向き合わないといけない。
そこで、今回紹介するのは尾﨑正彦先生の著書。算数科の新学習指導要領をどう読み取るか、読み取ったことをどう実践にするかを具体的に書かれている。尾﨑先生の本は、どれも具体的でわかりやすい。自分が、尾﨑学級にいて授業を受けているような感覚になる。
少しになるが引用してみる。
次のような時間経過を経て「めあて」は生まれてくるのです。
問題提示→問い→問いの共有→めあての文章化
大切なのは、子どもの問いが「めあて」になることです。「めあて」として文章化すること、それ自体ではありません。
まるっきり無策で授業をスタートしても、「深い学び」へと子どもが辿り着くことはありません。
そんなとき、「深い学び」へと導く簡単な手立てがあります。それは、子どもが見つけた問題の解決策やきまりの一般性を、教師が問いかけるのです。
具体的には「その方法(きまり)は、たまたまだよね?」と投げかけるのです。すなわち偶然性を問うのです。
偶然性を問われることで、それまで目の前の問題が解決して安定していた子どもたちが、再び動き出します。自分たちの解決方法を、一般化の視点で見直すのです。
どちらも具体的で、明日の実践から取り入れられそうに感じる。やっぱり、読みやすいし、わかりやすい。
さあ、新学習指導要領の全面実施は待ったなしの状況である。算数の授業を真剣に考えていこう、と思っているなら、本書は必読の一冊である。今から準備しておきましょう。