小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

悔しさと なるほどと 羨ましさと

 東洋館出版社創業70周年記念として出版された『3つの“感”でつくる算数授業』を読んだ。70周年記念の一環として、若手の本を出版するように、その企画案を全国から募集された。そこで最優秀賞を獲得し、出版となったのが本書である。

 ちなみに、僕もこの企画に応募した。このブログでも記事にしているように「算数授業をパターン化する」という内容で応募した。まあ、箸にも棒にも掛からなかったのだが。だから、悔しいのである。そして、羨ましいのである…。

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  でも、本書を読んでみると最優秀賞に輝くのも納得であった。また、書かれていることも納得し、共感する部分が多くあった。それらのことについて、ここから書いていく。

 筆者である森先生が提示している「3つの“感”」というのは以下のことである。

私は、「3つの〝感〟」を大切にして算数の授業を行っている。

「3つの〝感〟」とは、子どもが授業に向かう心持ちのことであり、「安心感」「期待感」「納得感」を指す。

  また、教師として持っておきたい“かん”も提示されている。

「教師の3つの〝かん〟」とは次の3つである。

1 観――教育観、子ども観、授業観、指導観

2 感――感性

3 間――間の意識

  これを読んでみると、とてもシンプルだ、と感じた。また、そんなに驚くような内容でもない。なんだか当たり前のことのように思える。だからこそ、強力なもののように思えた。きっと、森先生が考えに考え抜いたものなのだ、と思う。この考えは、何も算数だけで使えるものではない。他の教科・領域でも使える。だから、強力なのだ。僕は納得感を持った。

 そして、三章にあたる子どもたちとの授業でのやり取り。それがとてもいい。というか、僕には書けないものであった。子どもたちの様子や考えが目の前に浮かんでくるようになっている。それだけ、丁寧に記録を残し、それを見直したのだろう。その時には、教師からの目線ではなく、なるべく子どもの目線からになるように。だから、目の前に浮かんでくるようなのである。

 僕だと教師からの目線が強くなってしまう。子どもの考えを大切にしているつもりだったけど、ここまでじゃないな、と感じた。そして、ここまでしないといけないのだな、とも感じた。

 勝ち負けではないのだけど、あえて言わせてもらうと「完敗」です。

 算数授業を考えていきたい若手には必携の一冊である。とにかく読んで、そしてここに追い付け追い越せ? という気概を持ってもらいたい。もちろん、森先生が提示されている考えや具体的な取り組みを参考にしてほしいのだけど。

 とにもかくにも、僕にとってよい刺激を与えてくれた一冊である。とりあえず、最近ストップしている「算数授業をパターン化する」を書き進めていきたい。そこから始めてみよう。

3つの“感"でつくる算数授業

3つの“感"でつくる算数授業