小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

臨時休校の学校現場④「もっと鍛えられた?」

 六年生だけでなく、他の学年も下校が完了した。職員室に次々と学級担任も戻ってきた。誰もが口々にこの一日のことを話している。

 「何とかなるもんですね」「やっぱりバタバタだったわ」「これ返し忘れてしまった」等々。みなさんお疲れ様です、と思いながら僕は聞いていた。
 その中で気になる言葉があった。それが「これからもっと鍛えられたのに」というものである。
 三月という残り一か月(実質は三週間程)で、さらに子どもたちを鍛えられた(育てられた)はずなのに、という無念さが表されているのだ、と感じた。これは理解できる。卒業式等の行事を通し、子どもたちを鍛える。また、子どもたちに伝えたいことがある。僕も学級担任をしていたから、よくわかる。このような思いを抱くのには何も異論はない。
 でも、僕としては気にかかったのである。それは、あと一か月で鍛えるということに無理はないだろうか、ということ。教師として最後の最後まで鍛えるということは悪いことではない。そのような視点は持っておきたい。だけど、子どもたちにとって無理が生じないか、ということは気にかけておかないといけない。そうでもしないと、できない者が必要以上に形見の狭い思いをするのではないだろうか。そこで生まれた負の感情は次の学年に持ち越されることとなる。その悪影響は計り知れない。だから、僕は上記した言葉が気にかかったのである。
 さて、自分なりに肯定的な意見と否定的な意見を出してみた。ここから新たに考えられることはあるだろうか。少し考えてみる。
 最後まで鍛えたいのは理解できる、最後の最後で子どもたちに無理させないことも大切。じゃあ、この最後になるまでに鍛えておく。そして、最後は鍛えた力を子どもたちに発揮させ、それを見守る時間とする。本当に力がついているのかを見極める。そうすることで、自分の指導の振り返りにもなる。もちろん、力がついていないと感じたら、再び指導する。その時には、子どもたちに無理させないという視点は忘れずに。
 自分なりに考えを拡げ、深めることができた。この言葉を発した教師に感謝しないといけないな(笑)。
 
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