初・伊坂幸太郎本。今回読んだ『重力ピエロ』。
僕としては、ミステリー的な要素があり、 時折偉人の言葉や歴史の話等があり、興味深く読むことができた。 次が読みたい、どうなるだろう、と思いながら読むことができた。 かなり緻密に計算されて書かれたような印象を受けた。また、「気休めは大事だよ」 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」等の言葉は、なるほどな、と感じさせられた。さらに、参考引用文献が載っていた。これは小説では、なかなか見たことがない。ここも僕にとっては好感が持てた。
でも、物語のクライマックスからラストに向けての部分は、 あまり納得できなかった。いろいろと仕出かしたのに、 こんな爽やかな感じで終わってもいいのかい! と。
いや、泉水や春、そして父が前向きに進めることは嬉しいよ。 だけど、お咎めなしというのはいいのかな。まあ、 あのおっかない親父に絞られたとは思うけど。 罪を罪と感じ反省しないとなると、 憎んでいた葛城と同じになるのではないか。 春は罪と感じ反省はしている様子ではある。だけど、 結果的には何の罰も受けていない。やっぱり、 しっくりいかない気がする。ここは意見の別れるところだろうな。
このような感想を持つということは、 僕は決められた枠の中で慎ましく生きることが美徳のように、 思っているのだろうな。決められた枠なんてぶち壊すぜ、 というようなワイルドさに憧れているが、 僕はそうではないのだな。いや、もしかしたら憧れていないかも( 笑)。ちょっと違うでしょ、と思っているのかな。こんなことを、 この作品を通して考えた。
これを端に伊坂幸太郎作品を読んでいこうかな、 と思うよい機会となった。