学校が再開され、ようやく新しい学級や学年に慣れ、授業も本格的になってきているところではないでしょうか。今年度も算数専科ということなので、算数に関する本を紹介することにしよう。
今回紹介する本は、最近読んだというものではない。前に読んだものである。そして、今年度を迎えるにあたり読み返した本でもある。それが、記事のタイトルにもなっている『発想の源を問う』である。著者は、東京学芸大学附属小金井小学校の加固希支男先生である。加固先生は、「志算研」や「全国算数授業研究会」等でも精力的に実践を発表されている。「志算研」の著書も以前に紹介したので、よければ参照してください。
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さて、「発想の源を問う」ということはどういうことだろうか? 著者の加固先生は以下のように説明している。
発想の源とは、子供が問題を解いた解法の基になっている見方や考え方である。解法の根幹となる考え方ということができる。よって、子供の解法に対して、「どうしてそうしようと思ったの?」と問うことが、発想の源を問うということになる。
これで、「発想の源を問う」ことのだいたいは理解できだろうか?
また、加固先生は、「発想の源を問う」ことが必要だ、と考えたきっかけについても説明している。
「友達の説明を聞いている子供」の多くは、目の前の問題の解法の理由は理解することができる。友達が、整数×小数の計算が「整数と同じように計算して、あとで小数点を付ける」という手順で計算ができる理由を説明してくれれば、その理由はわかる。
しかし、小数×小数や分数×分数の計算の仕方を考えるとなったとき、また「友達の説明を聞いている子供」になってしまうのである。
どの子も自分自身で学びを創造していけるようになるには、「発想の源」を共有する必要があるということだ。だから、授業の中で「発想の源を問う」のである。
きっと、算数に熱心に取り組んでいる教師は、「発想の源」を引き出すことはしているのではないだろうか。だけど、その引き出した「発想の源」を、板書して共有するということはなかなかしていないのではないだろうか。というか、僕はそこまでできていなかった。だからこそ、加固先生が提案されている「発想の源を問う」ということに、とても納得することができた。
それに、「発想の源を問う」ということは、算数授業だけでなく、他の教科・領域でも使うことができることではないだろうか。僕は算数でしか実践できないが、是非他の教科・領域でも活用してみたい。
今年度は算数授業に力を入れたい、と考えている方にとっては必読の一冊であろう。そう考えていない方も是非とも手に取ってもらいたい。