新潮文庫の100冊として紹介されていたので手にした。
副題に「教室で出会った」とある。教科書に掲載されている作品や教室で過ごしている年代が主人公の作品で構成されている。
だから、全体を通して根底にあるのは「温かいもの」であるように感じた。その「温かいもの」は、物事を全て解決してくれるものではない。問題は問題のまま残っているけども、その「温かいもの」があるから前を向けるというようなもの。
また、その「温かいもの」は誰にでも一つや二つは持ち合わせている。ただそれが色あせてしまい、それを忘れてしまうことはあるのだけど。これを一般的には「思い出」と呼ぶのかもしれない。
そんな「温かいもの」を一つでも二つでも子どもたちに届けたい。読みながら、こんな思いを強く抱いた。
誰にでもある「温かいもの」について思い出させてくれる作品となっている。だから、どんな人にでもおすすめできる作品でもある。あなたの「温かいもの」もきっと思い出させてくれるはずですよ。