定期購読している「授業づくりネットワーク」の新刊を読んだ。今回のテーマは「学級崩壊」について。
学級崩壊という言葉は市民権をすでに得ている。教育界だけで使われている言葉ではない。そして、最近では学級崩壊という言葉を耳にすることが減ってきている。打からと言って、学級崩壊がなくなっているということではない。それだけ、センセーショナルな出来事ではなくなったということだ。
学級崩壊では、学級経営の課題だけでなく、授業の課題もある。でも、どちらかと言うと、学級経営についての課題とその対応について書かれている論文が多いように感じた。
その中で目を惹いたのは、QUでおなじみの河村茂雄先生の論考。
河村先生は、「主体的・対話的で深い学び」を通じて「資質・能力」を育てるには、学級に「安定度」と「活性度」を統合することが必要である、と述べている。
学級に「安定度」と「活性度」が統合された状態の学級こそが「学級集団」と呼べる。学級内の「活性度」を高めようとするなら、子どもたちの「多様性」を認め、また親和的・建設的な行動をとることができるようにしていかないといけない。これはかなり難しいことでもある。特に子どもたちの「多様性」を前提にして、どのようにして学級の中で親和的・建設的な雰囲気をつくっていくのか、ということが。でも、ここから目を背けてはいけないだろう。
河村先生は力強く以下のように述べている。
これからの時代は、子ども同士が学び合う機能が喪失した状態の学級集団は、学級崩壊と考えていくべきだ、と思います。「学習集団不成立型」の学級崩壊です。
このように考えると、「安定度」だけを求めるような学級経営や授業をしていてはいけない。もちろん、「安定度」がないと「活性度」を生み出すことはできない。だから、大切ではないわけではなく、「安定度」の先を見据えないといけないということ。これは多くの論者が述べていることともつながることである。
「安定度」と「活性度」の統合、学級内の多様性、といったことがこれからの学級経営を考える上でのキーワードになるのではないだろうか。このキーワードを持ちながら、考えを続けたい。