小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

つくし世代とは?

 著者は広告代理店アサツー ディ・ケイ(ADK)に勤務し、マーケティングを担当している。そして、マーケティングで得た知見をまとめたものが本書である。

 著者は、本書で「若者」を「1992年に小学校に入学した人たちよりも若い世代」と定義した。その理由を四点挙げている。

 一点目、個性尊重を打ち出した等の教育環境の変化。二点目、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回った、家庭環境の変化。三点目、インターネットの普及等のIT環境の変化。四点目、バブルが崩壊した、経済環境の変化。

 また、筆者は「ゆとり世代」「さとり世代」という言葉で、一括りにされ、揶揄されている状況に違和感を覚えている、と語る。そこで、「ゆとり世代」「さとり世代」を更新する言葉で「若者」を表現する。それが本書のタイトルにもなっている「つくし世代」である。

 「つくし世代」と表現できる若者たちの傾向を、筆者は「チョイスする価値観」「つながり願望」「ケチ美学」「ノット・ハングリー」「せつな主義」『新世代の「友達」感覚』「なぜシェアするのか?」『誰もが「ぬるオタ」』「コスパ至上主義」という九つの視点で語っていく。

 僕は、「いや、結局一括りにしてるじゃん!」とツッコミしつつも(笑)、概ね肯きながら本書を読了した。もちろん、最大公約数的な若者の傾向を読み取っているだけであるので、そこに収まり切らない傾向も存在している。さらに、時間が経過していくうちに言説が古くなっていっているかもしれない。だけど、現在から未来へ眼差しを向けるという作業を行っていることは評価したい。

 社会がどう変化してきたか、社会がどう変化しようとしているかに興味を持ち、そして十年後、二十年後と未来に眼差しを向ける。もちろん、未来ばかりではない。過去も同様である。過去から現在までの変容からしか、未来への想像力は生まれない。

 本書を読んだことで、自分なりに「ゆとり世代」と呼ばれたことやそんな時代を生きて現在に至っている状況を、まとめたいという思いに駆られた。その試みを最近始めた。かなり遅くなってしまった思いもしているが…。その記事を張り付けておくので、よければそちらもご覧ください。

kyousituchallenge.hatenablog.jp