自殺について、自殺予防についての知識や考えが足りていない、と思う機会が増えてきた。自殺というのは、決して珍しいことではない。それは統計を見れば明らかである。しかし、まだまだセンセーショナルな伝え方がされているようにも感じる。
だから、まずは現状を知ることから始めないといけないのではないだろうか。日に日にこのような思いを強くしている。現状を正しく理解することが、何においても出発点になるのではないだろうか。
僕は自殺を少しでも減らしたい、と思っている。多くの子どもたちと日々対峙しているが、目の前の子どもたちが将来そのような決断をしないようにしてほしい、と願っている。それは本当に心から思う。こう考えていると、僕なりにできることはいくつもあるように思う。それが将来の自殺を予防することにつながるのだろう。
では、そんな自殺予防について理解しようとする時に何から学べばいいのか。僕は、高橋祥友先生の著作を薦めたい。少し古いものにもなるのだが、新書の『自殺の心理学』『自殺予防』は平易に書かれていて読みやすい。また、内容も自殺予防に関連する事柄が網羅されている。
高橋先生は自殺について以下のように述べられている。
自殺のキーワードは「孤立」である。困ったときには、誰かに助けを求めても構わない、むしろ、それが適切な対応なのだという点を強調したい。本書を読んでいただいた方には、ぜひ、自分が切羽詰った状況に陥る前に、そのような場面に遭遇したら誰に相談できるかを考えてみてほしい。かならずあなたのことを心配して、なんとか助けの手を伸ばしたいと考えてくれる誰かが周囲にいるはずである。自殺の危機とは、そのような人がまったくいないと固く信じ込んでしまうような状況であるのだ。
自殺は予防できる。それは自殺を考えている周りにいる人にかかっているかもしれない。つまり、それは自分自身の問題でもあるということだ。そう思える人が一人でも増えることで、自殺は減っていくのだと思う。そんな甘っちょろいものではないような気がするけど、自分のできると思えることをしていきたい。小さな教室からの挑戦だな。