小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

コミュニケーションを学ぶ

 「コミュニケーション」という言葉を耳にすることは多い。そこで、「コミュニケーションって何ですか?」と、問われるとどのように答えるだろうか。きっと、それなりに答えることはできるだろう。しかし、本当に僕が答えていることは正しいというか、妥当性があるかはわからない。「コミュニケーション能力」や「コミュニケーションスキル」のような言葉に対しても同様である。

 そう思っていると、何だか居心地が悪くなってきた。だから、「コミュニケーション」という、使っている割にはよくわかっていないことについて自分なりの考えを持ちたい、と思い手に取ってみた一冊を紹介したい。

 ちくまプリマー新書のシリーズということで、高校生ぐらいから読めるようにというコンセプトになっている。表現こそ平易であるが、内容は決して平易ではない。だから、意外と読むのに時間がかかった。

 少しになるが気になった記述を引用する。

コミュニケーションは、ある面ではスキルとして習得されるものですが、それだけではなくマインドの面も持つ、ということです。そして、そのどちらが大切なのかという議論は不毛です。スキルとしての面も大切ですし、マインドの面ももちろん大切です。マインドだけでコミュニケーションはできませんし、スキルだけで行われるコミュニケーションは空虚で無意味です。

つまり、以下の三点を指摘することができます。

(1)コミュニケーションは技術もしくは知識として習得されうる。

(2)ただし、コミュニケーションの技術もしくは知識を習得するためには、まずコミュニケーションへの意思が必要である。

(3)さらに、コミュニケーションを技術もしくは知識として習得するだけでは十分ではなく、それを越えて、コミュニケーションするということの意味を考えることが重要となる。

  この記述に出会えたことだけで、この本を読んでみてよかった、と思える。

 コミュニケーションというと、スキルに目が行きがちである。巷にはコミュニケーションスキルに関する本は溢れている。もちろん、スキルが必要ないわけではない。むしろ、スキルはあるに越したことはないだろう。

 しかし、そこで留まっているだけではいけない。著者が指摘するように、コミュニケーションへの意思が必要になる、またコミュニケーションするということの意味を考えることが重要となる。

  手前味噌になってしまうが、僕の「コミュニケーション」についての意識は、確実にコミュニケーションするということの意味を考えることにへと移ってきている。つまり、けっこういい線行ってるのだ、と思う(笑)。もちろん、ここはスタート地点に過ぎないのだけど。

 そんな「コミュニケーション」という言葉を丁寧に解きほぐしてくれている一冊である。スキル面はもちろん、理論面にも触れられているので読み応えはばっちりである。僕としては、これを端にコミュニケーションということを学び進めたい、と思える一冊であった。

 

コミュニケーションを学ぶ (ちくまプリマー新書)

コミュニケーションを学ぶ (ちくまプリマー新書)

  • 作者:高田 明典
  • 発売日: 2012/09/01
  • メディア: 新書