小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

給食は好きですか?

 2016年に女優の天海祐希が主演した「Chef~三ツ星の給食~」というドラマがあった。

 ドラマの内容は、「天海祐希演じる天才三ツ星シェフがトラブルによりレストランをやめさせられ職場を失う。そんな時にテレビの企画で、給食のシェフをやらないかと声をかけられ、仕方なく給食を作ることに決める。そこで給食室の職員たちや子どもたちとすったもんだありながらも、給食づくりに奮闘する。」といったものである。まあ観ていなかったからあんまり知らないのだけど(笑)。

 でも、僕はこのドラマのタイトルをテレビ欄で見つけた時、原作があるだろうな、と思った。それがこの『給食のおにいさん』である。確かめてみると、ドラマに原作はないということであったが。

 この作品では、数多の有名店を渡り歩き、輝かしい受賞歴を誇る若き料理人・佐々目が諸事情により小学校の給食のおにいさんをやらなくてはいけなくなってしまうところから始まる。何だかドラマのイントロダクションと同じような始まりである。

 作者は学校を取り巻く課題や学校給食についてよく調べたのか、現代の学校教育の課題を交えながら話を展開させる。いじめられている子ども、給食費未納の保護者等、多くの問題が取り上げられている。そのような学校教育の視点からも読み込むことができる一冊である。もちろん、それだけでなく、栄養士の上司、クセの強い同僚のおばちゃん調理員等の個性的な登場人物とのやり取りも楽しめる。

 この『給食のおにいさん』は、「進級、卒業、受験、浪人」と、シリーズ化もされている。気になる方は是非、続けて読んでもらいたい。

給食のおにいさん (幻冬舎文庫)

給食のおにいさん (幻冬舎文庫)