毎号楽しみにしている「授業づくりネットワーク」の最新号が発刊された。今回のテーマは「多様性を受けとめる教室」である。現在、学校は多様性で溢れている、と認識されている。
しかし、その多様性を受けとめることができるか、となるとそうはなっていない。でも、これからの教育を考えていくには、この「多様性」は避けて通れない、と僕は考えている。だから、僕としてはタイムリーな一冊であった。
特におすすめは巻頭鼎談。インクルーシブ教育とUDについて、いろいろな角度から考えることができるものとなっている。そのような記述を少しになるが引用してみる。
UDというのは要は、「基礎的環境整備」の話だと思うんですね。一人ひとりのニーズに応えていくための基礎的インフラとして、誰もが学びやすい環境をそもそも整えていきましょうということだと思っています。UDのすべての人がっていうのも、結局大事なのは構成員(子ども達)の話で、つまり、1年1組にとってのUDと1年2組にとってのUDはちがくて良いと私は考えています。UDってデザインという言葉が入ってるじゃないですか。それでなんでデザインかと言いますと、その場に応じてデザインをしてないといけないからだと思うんですね。ですから私にとっては、いわゆる「○○スタンダード」って言われているものは、UDではないと思っています。スタンダードがデザインされていないですから。
最近、学校の中で作られている「○○スタンダード」の違和感なるものをはっきりと言語化されている、と感じた。「○○スタンダード」を作るならば、この指摘について考えた上でないといけないだろう。
また、井手上漠さんのインタビューが印象深かった。井手上さんは「ジェンダーレスって言われるのはあんまり好きじゃない。本当は井手上漠ですと答えたい」と、語っていた。
これが多様性の核ではないだろうか。何かしらのカテゴリーで括るのではなく、個人として見る。でも、何も意識していないとカテゴリーに括ろうとしてしまう。そのことに自覚的でありたい、と思った。そして、少しでもカテゴリーに括るのではなく、個人個人として捉え、理解しようとすることを続けたいものだ。
教室や教育における多様性を考えたい者にとっては必読の一冊となっている。是非とも手に取ってみてほしい。