小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

ベテランがなんでベテランかというと、お客さんの反応を掴むことができるからだよ。

ベテランがなんでベテランかというと、お客さんの反応を掴むことができるからだよ。(by百田光雄)

 

 百田光雄は、力道山の息子というプロレス界のサラブレッドである。そうではあるが、全日本プロレス時代は第1試合に登場することが多く、「6時30分の男」という異名をとった。

 やはり、メインイベントが注目されるし、レスラーとしてはそこを目指すであろう。だから、第1試合なんて…、と思われるかもしれない。

 しかし、第1試合というのは、その興行全体を考えると重要な位置づけの試合である。第1試合だと、観客はまだまだプロレスという非日常空間に入り切れていない。だからこそ、まだ冷えている客席を温め、メインイベントに向けて盛り上げていく役割が第1試合には求められるのだ。

 このような重要な試合を任せられるというのは力がないと任せられない。だから、第1試合なんて…、と思うのは間違っている。観客が思うのはわからなくもないが、レスラーというプロから見ると決してそのようには思わないだろう。

 百田光雄が「6時30分の男」という異名をとることができたのは、この百田の言葉に詰まっているだろう。つまり、お客さんの反応を掴むことができるということ。お客さんの反応を掴み、試合を進めていたのだろう。冷えているのなら大げさな動きをする、温まってきたならお客さんに拍手等のレスポンスを求める等。とりあえず盛り上げればいい、というわけではないはずだ。

 では、ここで考えてみる。百田のように教師は子どもたちの反応を掴み、授業を進めているだろうか。教えないといけないことや教科書の内容を前面に押し出し、子どもたちの反応をつかむどころではない、ということになっていないだろうか。そんなことを考えた。

 新学習指導要領でも「主体的な学び」がクローズアップされている。子どもたちが主体的に学べるようにするには、子どもたちの反応を大切にするということは必要になるだろう。子どもたちの反応を無視し、ただ授業を進めることをしていては主体的な学びを生み出すことは到底できないだろう。だからこそ、百田の言う通り子どもたちの反応を掴むということを大切にしないといけない。

 それこそが、ベテラン・若手問わず、よい授業者の姿ではないだろうか。