タイトルに「入門」という言葉があるように、入門編としては最適の一冊である。特別支援学級での環境づくり、授業・学級経営等のことがわかりやすく具体的に書かれている。特別支援学級を担任する者にとっては必読の一冊であろう。
特別支援学級を実際に担当している僕がなるほどな、と思った記述を引用する。
教師も子どもも、緊張感からは早く解放されたほうがいい。それには、ともあれ、担任交代による子どものストレスを、できるかぎり軽減してあげるしかない。
特別支援学級の子どもは、なにぶんにも環境の変化に弱い。それゆえ、引き継ぎにあたっては、「その子が、どんな環境のもとで、どのような振る舞いをしていたのか」といった、「環境とセットにした引き継ぎ」をしたい。子どもの暮らしごと、引き継ぐのだ。
授業づくりのはじめの一歩は、授業のしくみづくりと教材づくりである。
しくみづくりのキーワードは、「形式」である。教師の指示を理解したり、周囲の状況を読み取ったりするのが苦手な子どもたちには、「授業の形式」を示してあげたい。いつもの「形式」があれば、子どもたちは、言われなくてもよく動く。「形式」は、子どもを枠にはめるためにあるのではなく、自信をもって授業に取り組めるようにするためにあるのだ。
この二つの記述は、特別支援学級担任として意識し、考えないといけないことがつまっているように思えた。
このようなことは、やはり経験しないとわからないものもある。だからこそ、このようにわかりやすく書かれているものがあれば、かなりためになる。
でも、書かれていることをその通りにするだけでなく、目の前の子どもたちの実態を捉え、実践していきたいものである。