小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

経産省若手プロジェクト『不安な個人、立ちすくむ国家』

 もう五年も前に刊行された一冊であるが、今更ながらの紹介になる。

 経産省の若手が集まり、当時の社会状況をやや否定的というか悲観的に読み取ったレポートが一番の肝となっている。Web上でも読むことができるので一読してみることをお勧めしたい。

 簡単にまとめるともっと若者や現役世代にお金を回そうということ。しかし、これが簡単なことではないから現在の社会状況になっているのだから、とうんうんと自分なりに考えている。

 知識人との対談も読み応えがある。東浩紀との対談で東は以下のように述べている。

国家に限らず、そもそも「組織」というものが何のためにあるかといえば、それは強者のためではなく、弱者のためです。何か面白い発想をする人とか、クリエイティブな能力を持っている人というのは、放っておいても自力で能力を発揮できる。特に今の時代は、技術が発展しているので、ズバ抜けた才能のある人間は、困難があったとしても、個人で突破する可能性が高くなっている。そう考えると、弱者をどう守るかということに組織の力を使う方が妥当である――そうならざるを得ないと思います。

 僕も含め誰もが自分の得になるように考えたいものである。しかし、それでは組織にいる者(ましてや国家では)を守ることができないだろう。

 この考え方は学校現場でも使えるし、多くの場で共有しておきたい考えたではないだろうか。