小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

デイジー教科書で読解

 文章を読むことに大きな抵抗感を持っている児童がいる。自力で読むことは難しく、追い読みなら何とか読めるという状態であった。その反面、読解力がないわけではなく、教材文を代読することで読解の問題を答えることができていた。

 そこで、「マルチメディアデイジー教科書」を使用することにした。マルチメディアデイジー教科書(以下、デイジー教科書)とは、通常の教科書と同様のテキスト・画像を使用し、テキストに音声をシンクロさせて読むことができるものである。

 国語科の物語・説明文の教材を学習する時には、デイジー教科書の読み上げる音声を聞くように指導した。また、読み上げる音声を聞き、その後聞いた箇所を範囲とした読解問題を解くように指導した。さらに、テストの時にもデイジー教科書の読み上げる音声を聞き、問題を解くように指導した。

 このような指導を繰り返し行っていると、テストの際に児童が自分で教材文を読んで問題を解くようになった。教材文の読みはたどたどしく、テストを終えるには長い時間を要した。それでも、児童は「疲れた」と言いながらも満足げな表情をしていた。

 特別支援学級に在籍する児童は、往々にして低次の部分で大きくエネルギーを使い、高次の部分にたどり着くのが困難なことが多い。今回の事例だと、時間をかければ文字を読むことができるがそのことに多くの時間を使ってしまい、肝心の文章読解を行うときには疲れてしまい取り組めないようなことが起こってしまう。

 よって、1人1台端末を活用し低次の部分を支援することで、高次の部分に取り組むことができるようになる。そのことで、児童の「できる」「わかった」という経験を積み重ねることができたのだろう。