小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

インディペンデントという矜持

 かなり面白い本を見つけることができた。ということで、かなり前のめりになりながら、今回の記事を書くこととなっている。

 今回、紹介するのが『インディペンデント・ブルース』という一冊。インディーと呼ばれる団体で活躍している8人のプロレスラーの生き様に触れることのできる一冊となっている。僕としては、新井健一郎(アラケン)と田中将人が取り上げられていて嬉しかった。

 とにかく、8人のプロレスラーの生き様や考えていることに触れることができ、プロレスファンとしてはとても興味を持って読み進めることができる。著者のジャスト日本が丁寧にそれぞれのレスラーを取材していることも伝わってくる。

 読んでいて、目を惹いた箇所を少し引用してみる。

「プロレスが下手というのは体の使い方を分かっていない人ですね。運動神経がいいから巧いというわけじゃないんです。運動神経がなくても、体の使い方が分かっているからプロレス巧い人はいるし、プロレス頭がある人は運動神経がなくても面白い試合をしますよね。プロレスが下手な人は起きる動作ひとつとってもぎこちない。ロープへの走り方もそうですし、あと自分の居場所が分かっていないんですね。試合をしていて、なんでそんな端っこで試合をしているのって。リングの中央で試合をするのがベターなわけで」

  これは、レスリングマスターとも呼ばれるディック東郷の言葉である。この言葉からプロフェッショナルとはどういうことなのか、ということを読み取ることができる。このようなことはTAJIRI鈴木みのるが近しいことを著書の中で語っていた。やはり、プロフェッショナルだからこそ、思うことなのかもしれない。

プロレスラーは打撃ができて、飛び技や関節技ができて、大体ドラゴン・スープレックスで試合を決めるというイメージですよね。でも、そんなんで面白かったやつは一人もいない。結局、我々は見世物なんです。得意な型になれば抜群に強いけれど、ウィークポイントを責められると負けてしまう。そういう面白い部分をお客さんは期待しているんじゃないかと。強いことは何よりも大事。だけど、面白さがなければお客さんはチケットを買ってくれない。

  これは、変態プロレスラーとも呼ばれる佐藤光留の言葉である。見せ方というか見られ方を意識しているということだ。ここに無頓着ではプロレスラーを名乗ることができないだろう。このようなこともTAJIRI鈴木みのるが近しいことを著書の中で語っていた。佐藤光留鈴木みのるの影響を受けていると思うので、当然なのかもしれないが。

 他にもあるのだが、長くなってしまうので割愛する。是非とも本書を読んでみて、他のレスラーの生き様や考え方を読んでほしい。

 題名は「インディペンデント・ブルース」となっている。ブルースとは、悲しみや哀愁を表現するものである。本書で表現されているものはブルースに聴こえるところもある。しかし、決して悲しみや哀愁だけではない。レスラーたちの矜持が垣間見えるものにもなっている。だからこそ、味わい深い一品となっている。

インディペンデント・ブルース

インディペンデント・ブルース