小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

書斎

競争より協働を

ある日の授業での子ども同士のやり取りについて。 A「同じ時間しているのにこれだけ差があってヤバくない?」 B「別にいいんじゃない、競争じゃないのだから」 というようなやり取りがあった。少し聞き間違いがあるがおおむねこのような内容であった。 ち…

国連に正対する③

障害の社会モデル(人権モデル)という考え方 国連から要請されている(b)の内容を改めて確認する。 (d) 通常教育の教員及び教員以外の教職員に、障害者を包容する教育(インクルーシブ教育)に関する研修を確保し、障害の人権モデルに関する意識を向上させるこ…

国連に正対する②

フルインクルージョンを目指して 国連から要請されている(b)の内容を改めて確認する。 (b) 全ての障害のある児童に対して通常の学校を利用する機会を確保すること。また、通常の学校が障害のある生徒に対しての通学拒否が認められないことを確保するための「…

国連に正対する①

日本への勧告内容 2022年9月9日、国連の障害者権利委員会から日本政府へ勧告(総括所見)が出された。総括所見の内容は懸念93項目、勧告92項目、留意1項目、奨励1項目となっているようだ。 その中でも強調されているのが、第19条「自立した生活及び地域社会へ…

ネガティブリストから始めよう

魔法の杖 子どもや若者が関わっている事件が起きると、決まって「今の教育(教師)はどうなっているんだ」という教育バッシングが始まる。ここでは、「教育(教師)がおかしくなっているから、○○という問題が起きる」という問題の立て方・見方が成されている。こ…

価値づけることの方略

価値づけるということを考えて記事にしている。今回でいちおう終わりになりますので、よければ最後までお付き合いください。 kyousituchallenge.hatenablog.jp 前回、僕は「『価値づける』と『褒めること』は似ている行為ではあると思うが、全く同じ行為だと…

偏愛的な感情

特別お題「今だから話せること」 右も左もわからないままに始まった1年目。七転八倒しながら何とか一年を終えたことを、今でも鮮明に覚えている。 そして、2年目を迎え、1年目に担任した子どもたちと離れることになる。新たな子どもたちとの出会いを大切…

価値づける≒褒めること?

価値づけるということに考えている。それを記事にしてみなさんに、僕はこう考えているのですがどうですか、と投げかけている。まあ、勝手に投げているだけなので誰かが受け取ってくれているのなら嬉しい。 kyousituchallenge.hatenablog.jp さて、価値づける…

一人でこなさなきゃ

僕がとらわれていた「しなきゃ」ということは、一人でこなさなきゃということ。もう少し具体的に言うと、一人で学級を運営しないといけないということ。 教師という仕事は、初任から学級担任をすることが一般的である。もちろん、校種や地域差はあると思うが…

価値を見出せる条件

以前、「価値づける」ことには、自分なりに意図を持って行っているが、「洗脳」という側面があるのではないか、という考えを述べました。今回はその続きです。 kyousituchallenge.hatenablog.jp 教師が価値づけることは洗脳という側面がある。そうならば、子…

表裏一体

子どもたちのさまざまな場面での言動を価値づけるということを意識している。こちらから教える指導するというだけでなく、子どもが持っているものや秘めているものを引き出しているイメージである。 そんな価値づけについてもう少し考えてみる。 例えば、「…

想像力を考える

少し前に障害者理解、もっと言うと他者理解のキーワードは「想像力」ではないか、ということを記事にした。 kyousituchallenge.hatenablog.jp そこでキーワードとして提示した「想像力」について考えてみている。 そうしていると、学校教育の教科において想…

気づきから拓かれる

例えば、「授業では教師や友達の話を聴き、学ぶ」と、指導します。しかし、子どもたちにとっては他の選択肢もあります。「騒いで話を聴かない」「授業は面倒だから、参加しない」等。だが、そういう道は無いかのように、「授業では教師や友達の話を聴き、学…

教師としてのエポック

今週のお題「人生変わった瞬間」 人生が変わった瞬間と言われてもピンとくることはない。しかし、教師人生が変わった瞬間というか、大きな転機になったときはある。それについて記事にしてみようと思う。 教師人生の大きな転機になったのは、どうしても上手…

ジャッジをさせない

子どもたちは教室で関り合いながら日々の学校生活を過ごしている。この関り合いは、一つの教室に同地域の同年齢の子どもを集めていることの大きな意義であろう。新型コロナウイルスの影響で、それを制限することをしないといけないところもあるが、気をつけ…

体験することを考える

少し古い記事にはなるのですが、僕が目にしたのが最近なのでそこはご容赦ください。 読んだ記事は、野口晃菜さんの個人ニュースのもの。簡単にニュースの内容を説明する。日本人は差別はよくないと思っているが、自身の周囲に障害者施設ができるのは反対する…

ゆとり世代教育論「規律は必要か?」

規律は必要か? 「規律」と書くと少し重たいイメージを持たれるだろう。他の言葉で言い換えるなら、「秩序」であり、もっと簡単にするなら「ルール」となるだろうか。 まず、「規律は必要か、必要ではないか?」という、そもそも論から始めてみる。答えは「…

ゆとり世代教育論「自由の相互承認」

自由の相互承認 「自由の相互承認」という原理を教育論の根底に置きたい。「自由の相互承認」とは何か。少し長くかつ迂遠になるが以下で説明する。 人類が、それまでの狩猟採集生活から定住・農耕・蓄財の生活へと徐々に移行していくようになったのは、約一…

ゆとり世代教育論「理想の教育像」

前回まで、ゆとり世代である僕が見て、感じた社会について論じたつもりである。 そして、前回の記事の最後に以下のように書いた。 ここまでである程度、ゆとり世代である僕たちが生きてきた時代について描写できた。では、こんな時代にはどのような教育を行…

ゆとり世代教育論「連載のまとめ」

この連載は9月から行っている。実に半年もの連載となっている。こうなってくると、どんなことを書いていたのか覚えていない。まあ、書いている本人も細かいところは覚えていない(笑)。 だから、連載のおさらいをしてみたい。 10月、「僕たちは無様な大人…

ゆとり世代教育論「自尊感情を揺さぶる社会」

自尊感情を揺さぶる社会 「自尊感情」とは心理学用語Self Esteem の訳語として定着した概念である。一般的には、「自己肯定感」「自己存在感」「自己効力感」等の語などと、ほぼ同じ意味合いで用いられている。 そして、日本の若者の自尊感情は、ご存知の通…

ゆとり世代教育論「孤立する『個』」

孤立する「個」 以前に以下のように記述した。 ゆとり世代の僕たちを見て、大人たちは「そんな集団から飛び出し、一人で行動するのだ!」 「空気なんて読まずに生きろ!」等としたり顔で語る。 だけど、僕たちは大人たちが言うような、きちんとした集団にな…

教育YouTuberを通して考える学校教育②

以前、「教育YouTuberを通して考える学校教育」と題して、教育YouTuberと教師の違いを通して、学校教育の特徴を書き綴った。 kyousituchallenge.hatenablog.jp そこで、僕として結論づけたのが、学校教育(教師)では具体的な子どもと対面している、授業以外の…

ゆとり世代教育論「『空気』を読む」

「空気」を読む 「KY」という言葉が流行した。この言葉の意味は、「空気が読めない」である。僕たちゆとり世代は「空気を読む」という行動を当たり前のようにしている。いや、今や誰にも「空気を読む」という行動は標準装備されている。 さて、僕たちは、な…

一年の計は元旦にあり?

2021年になりました。みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。まだまだ、新型コロナウイルスの影響が、大きな一年になりそうですが、ぼちぼちやっていきましょう。 さて、年が明けると何だかいつもより気が大きくな…

教育YouTuberを通して考える学校教育

先日の「情熱大陸」で教育YouTuberの葉一さんが取り上げられた。教育YouTuberという存在は想像していたが、目の当たりにするのは初めてであった。そして、葉一さんの考えに触れることで、教育現場にいる者として考えることがあった。そのことを今回は記事に…

ゆとり世代教育論「ツッコミ体質」

ツッコミ体質 僕たちが生きてきた、生きている社会は、「格差社会」と言われている。「勝ち組」「負け組」という言葉も流行った。また、「不寛容社会」とも言われる。さらに、「分断社会」とも言われる。格差や不寛容や分断が社会に浸透することによって生ま…

ゆとり世代教育論「デジタルネイティブからデジタルネイチャーへ」

離れてる気がしないね 君と僕との距離 目をつぶっていても 君の声でわかる表情/僕らはいつも 以心伝心 二人の距離つなぐテレパシー 離れてたって 以心伝心 黙ってたって わかる気持ち (作詞:ORANGE RANGE、作曲:ORANGE RANGE) これはORANGE RANGEの「以心…

ゆとり世代教育論「僕たちは無様な大人たちを見てきた」

僕たちは、小さい頃から多くの場面で、無様な大人たちを見てきた。 例えば、食品偽装問題。ミートホープ、船場吉兆等、例は枚挙にいとまがない。そこでは、大人たちが自分たちのしでかしたことを何とかごまかし、はぐらかそうと狼狽える姿が報道されることと…

ゆとり世代教育論「はじめに」

新型コロナウイルスの影響が大きく、何だか忘れ去られていないか心配になるが、小学校では今年度より新学習指導要領が全面実施されている。「主体的・対話的で深い学び」が大きなキーワードとなっている。 新たな教育の方向性が示されるようになると過去のこ…