小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

本好きの夢

 僕は辻村深月が好きだ。辻村深月の作品を読んでいると自分が言語化できていないけど思っていることや感じていることが、見事に言語化されていることに気づくことがある。そのような記述に出会うと大げさでもなく体がブルっと震え、鳥肌が立つ。だから、辻村深月の作品を読むことは止められない。

 そんな辻村深月の作品の中で、今回紹介するのがエッセイ集の『図書室で暮らしたい』。この題名には、本好きの夢がつまっている、と思っている(笑)。僕は実際にそう思っている節がある。いや、もちろん家の居心地がよいと思うのだろうけど。一度でいいから本に囲まれて寝てみたい(笑)。

 いくつものエッセイや辻村深月による自作解説が掲載されている本書。辻村深月ファンにとってはたまらない一冊となっている。

 さて、この本の中で僕が気になった記述を引用する。

ようやくグアムに到着し、通路で飛行機から降りるのを待つ間、前後に乗っていたお客さんに、「うるさくしてすいませんでした」と頭を下げた。謝る、というのも、それはそれで「謝ったから許してください」という気持ちを押しつけるような気がして、躊躇いながら、それでもいたたまれなくて、謝った。

  僕は口癖のように「すいません」と言う。だけど、それは「謝ったから許してください」という気持ちを押しつけているだけなのかもしれない、と思った。それは結果として、謝るということにはなっていない。だけど、僕としては「すいません」と言わないわけにはいかない、と思い口にしている。だから、難しいな、と思った。

 エッセイ集なので、気軽に読むことができるので、年末年始のお供にいかがでしょうか。文庫本の装丁はきれいで素敵なものとなっている。でも、単行本の「THE図書室」のような装丁も素敵なものなので、そちらも是非チェックしてもらいたい。

図書室で暮らしたい (講談社文庫)

図書室で暮らしたい (講談社文庫)

  • 作者:辻村 深月
  • 発売日: 2020/10/15
  • メディア: 文庫