小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

上半期ベスト3冊

今週のお題「上半期ベスト◯◯」

 

 7月に入り、早くも上半期が終わったことになる。上半期が終わったという印象はない。それでも新年から半年経ったと考えると、早いなとしみじみ感じてしまう。

 さて、そんな上半期も相変わらず読書にいそしんだ。そこで、上半期に読んだ本で印象的だったものを3冊紹介することにしよう。そして、下半期はどんな本に巡り会うだろうか、と楽しみである。

 

①野口晃菜、喜多一馬『差別のない社会をつくるインクルーシブ教育』学事出版

 この本は最近読んだ中ではかなりおすすめしたい一冊。インクルーシブと言うと、障害のある人への教育(特別支援教育)の文脈で考えがちである。しかし、本書ではそれはもちろん、貧困やジェンダー、いじめ等の多くの人権課題の文脈で語られていた。

 本書がインクルーシブのゴールを提示しているのではなく、考えるきっかけを与えてくれるような内容であった。

 詳しい書評は過去に記事にしているのでそれも参照してほしい。

kyousituchallenge.hatenablog.jp

 

朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』中公文庫

 螺旋プロジェクトの一冊。螺旋プロジェクトについての説明をここではしませんので、気になる方は是非とも調べてみてください。

 初めはどう展開していくのだろう、と思うぐらい緩やかであった。些細な日常が展開されているように感じた。しかし、それらが中盤から後半にかけてつながり一つの大きな物語ができあがったという印象であった。

 特別付録として筆者が作品についての説明があった。これは朝井リョウが考える「平成論」と言っても過言ではない作品である、と思った。朝井リョウが考える平成の様子は納得させられた。螺旋プロジェクト抜きにしても読み応えのある一冊であった。

 

③杉山亮『児童作家の思いつき』仮説社

 「あなたも名探偵シリーズ」は誰もが目にしたことがあるのではないだろうか。図書館や学校の図書室ではおなじみの一冊のように思う。そんな「あなたも名探偵シリーズ」でお馴染みの杉山亮さんのTwitterの発信をまとめられたエッセイ集。

 作家として考えたこと、保父として経験したこと等が綴られている。また、子どもと本の関係や本に対して思いが綴られている。読み物としても楽しいが、子どもと本について考えることのできる内容となっている。そんなこと考えずに、読みながら楽しみ何か感じ取る必要はないのかもしれないが。

 「あなたも名探偵シリーズ」を楽しんだ方にとっては是非とも手に取ってもらいたい一冊である。