小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

ささやかな幸福を得るには

 本書では、家族論、地域共同体論、教育論、コミュニケーション論、師弟論等の「人と人の結びつき」の在り方について論じられている。

 著者は、「おとなになりましょう」、「常識的に考えましょう」、「古いものをやたら捨てずに、使えるものは使い延ばしましょう」、「若い人の成長を支援しましょう」といった「当たり前」のことを述べているだけ、と語る。

 共同体論なんて使い古された話題ではある。だけど、「共同体なんて、今さら戻りたくない。再構築は難しい。」というような声が聞こえてきそうだ。

 確かに、今さら閉ざされた共同体を再構築したいかというと、そうでもない。でも、ある程度の共同体―つながり―を構築できないと生きづらくなってきている。いや、もちろん一人でも、家族だけでも生きていける程、豊かになっている。

 しかし、それだけでは不十分でないかと考えている。常に共同体の中でつながっている必要はないが、いつでもつながることができる状況にいる者が幸せに生きているように思っている。そのようにつながれるものを数多く持っている者が幸せに生きているように思っている。

 そんな、ささやかな幸福を掴むことができる力を保証するために共同体の存在意義があるのではないかと考えさせられる。

 内田節を味わうためには、本書は最適だと思う。スラスラと読めると思う。さらに、「目から鱗が落ちる」という感覚を味わうこともできると思う。著者も、「本書はかなり面白いです。非常に、と申し上げてよいぐらいです。」と自信満々に語っている(笑)。

 まあ、騙されたと思って、是非手に取ってもらいたい。

街場の読書論 (潮新書)

街場の読書論 (潮新書)

  • 作者:内田 樹
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: 新書