出版前からとても楽しみにしていた一冊。 本書の著者である苫野先生の考え(「自由の相互承認」)には、 自分自身とても影響を受けている。 その考えを実践にどう落とし込むことができるか、 といつことを真剣に考えているつもりだ。
さて、 本書は苫野先生が他の書籍でも論じていることをコンパクトに読む ことができる。
・学校教育とは何か、ということを原理的に解明する必要性
・教育を変革するため、哲学を共有することの必要性
・学びを「個別化・協同化・プロジェクト化」する
だから、少しずつでいいので広げていきませんか。そのために本書を読み、次の一歩を考えましょう。
等々。
そして、5年前に出版された『教育の力』から進み、「探究」 を全面的に押し出す論述となっている。「探究」 をカリキュラムの中核にするための考えや方策を、 かなりのページが割かれている。ここを読んで、 少しずつではあるが進んできている、 変わっていかないといけない、と感じた。
しかし、何かしらを変えようとすると批判もある。だけど、その想定される批判も、 ある程度苫野先生が応えながら論を進めている。だから、 苫野先生の論はとても説得力がある。新書なので、 少し説明が足りないように思う所もあるが、 議論のとっかかりとしては十分である。 また参考文献も豊富なので、 ここから学びをスタートさせることも可能である。
いよいよ新年度も始まり、 新学習指導要領実施も目前に迫ってきている。「 学び手中心の教育」は待ったなしの状況である。 教師自身や学校が変わるという覚悟を、 ここで示さないといけない。また後戻りするなんてしたくない。
また苫野先生には、5年後ぐらいに続編を書いてもらいたい。 その時のタイトルは『「学校」は変わる』 みたいなものになるといいな。