小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

象徴への哀惜

 2016年とはどんな年だと思い出せるであろうか?

 リオオリンピックのメダルラッシュに沸いた年、相模原障害者殺傷事件に衝撃を受けた年と思い出すであろうか?

 僕としてはこれらよりも重大なことがあった年として思い出される(上記も決して小さな出来事ではないが)。それは「平成の最後の年」となったことである。

 「2016年と言えば、平成28年だろう、平成は31年まであったんだぜ。馬鹿言っちゃいけないよ。」と思われている方もいるだろう。だけど、もう少し我慢して僕の話を聞いてもらいたい。確かに平成は平成31年の4月末まであった。しかし、平成は2016年、平成28年で終わった。僕はそう考えている。

 この年に天皇陛下生前退位のご意向を表明された。いや、生前退位という具体的な言葉で表明されたわけではないのだけれど。でも、明らかにそのようなお考えを抱かれていることは理解できるようなお言葉を表目された。それを受け、「今回限りにするのか」「憲法の一部を改変するのか」等、様々な議論がなされている。「承詔必謹」という言葉があるように、近い将来天皇陛下のご意向に沿ったことが実現されるであろう。確かにまだ退位されていないので、元号は平成のままである。だが、この年で平成の終わりは見えてきていることは確かである。

 そして、もう一つこの年を語る上で欠かせないことがある。

 「国民的アイドルグループという言葉からどのグループを思い浮かべますか?」と聞かれると、どのグループを思い浮かべるだろうか。様々なグループがあるが、やはり「SMAP」という声が多く聞かれるであろう。「SMAP」が国民的アイドルグループであるということへの異論は少ないであろう。

 SMAPの結成は1988年であり、CDデビューが1991年である。また、CDデビュー前の1989年に森永乳業から「SMAP」という名の清涼飲料水を発売している。このことから平成元年から世間に「SMAP」が出、活動が始まったと言っても過言ではないであろう。そんな「SMAP」がこの年の12月31日をもち解散したのだ

 この二つ(二人)の象徴を取り巻く出来事を並べてみると、「平成の最後の年」というのも肯けるであろう。いや、それでも肯くことはできない方もいるとは思うが。

 僕は平成を生きた、と思っている。「平成」という元号はまさに自分たちのためにあるとでも思い込んでいる。そして、「平成」を体現していると変なプライドを抱いている(笑)。そんな僕にとっては、「平成の最後の年」という意味合いを持つ年であったのだ。だから、僕たちがまさに生きてきた「平成」を体現している二つの象徴に愛惜の念を禁じ得ない。そんな思いを抱いた年であったのだ。