僕が注視している教育ライターの一人が堀裕嗣先生。堀先生の著作の多くを読んでいる。そして、堀先生の論述から大いに刺激をもらっている。このブログでもいくつか書評を書いているので、よければ参照してください。
kyousituchallenge.hatenablog.jp
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さて、今回は堀先生の『若手育成10の鉄則・100の言葉がけ』を読んだ。堀先生の本だから、という思いで手に取ったが、いやいや自分には若手育成なんて早い、と思い積読状態が長らく続いていた。
しかし、自分では若いと思っているが、いつの間にか自分より下の年齢の者が増えてきた。その若手たちを育成してやろう、なんて上から考えているわけではない。でも、若手育成ということも考えていかないといけないのかな、と感じるようになり、今回読んでみた。
堀先生と若手のやり取りを具体的なエピソードとして読むことができる。ここで書かれているやり取りは、堀先生とその若手たちとの関係があってこその言葉である、ということは忘れてはいけない。だから、そのまま真似しようとするのは違うかな、と思う。もちろん、伝え方を変えれば、伝えることはできるだろう。だから、自分と相手との関係を意識しながら、参考にできそうなところは取り入れられる。
僕としては、若手育成の参考になるというよりも、堀先生が若手たちにかけている言葉がけを自分にされている、と思いながら読んでいた。若手でなくとも、何かしら感じ入るものがある。
少しになるが、僕が気になった言葉がけを引用してみる。
仲良く楽しそうに過ごしている大人たちが近くにいる。これ以上に教育効果の高い教育方法はないんだぜ!
学校ではね、教師が真面目すぎるからうまくいかないことって、いっぱいあるんだよ……
これらなんてのは、若手だけが聞いておかないといけないというものではないだろう。若手じゃなく、中堅でも、この言葉から考えることがあるだろう。
堀先生は、「あとがき」で以下のように述べている。
僕のいまの仕事で最も大切なのは、僕が若い頃にしてもらったことを僕が出逢った若い世代に本気でしてあげること、そういうスタンスで若者たちに接すること、それだけなのではないか……、そう思うのです。
このように考えると、若手育成は若手のためというだけでなく、自分がしてもらったことを恩送りしていくという意味合いも持つのだ、と思った。そして、その恩送りが結果として未来を創ることにつながるのではないだろうか、とも思った。だからこそ、若手育成というのはどの教師にとっても必要な視点だろう、と感じた。
若手育成の参考にするのもよし、自分の教育観を見直すきっかけにするのもよしの一冊である。ということは、どの層が手に取っても、考えを深める触媒となるということだ。だから、是非手に取ってみてください。