小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

自分でやった方が早い病を治すために

 最近、「チーム学校」ということをよく耳にするようになりました。平成27年12月21日中央審議会の「チームとしての学校の在り方と 今後の改善方策について(答申)」が出されたことが大きく影響している。

 答申では「これからの学校が教育課程の改善等を実現し、複雑化・多様化した課題を解決していくためには、学校の組織としての在り方や、学校の組織文化に基づく業務の在り方などを見直し、『チームとしての学校』を作り上げていくことが大切である。」と述べられている。

 僕はこの答申の方向性におおむね賛成している。個人の力でできることには限りがある。だから、教師がチームとして教育活動を行っていく。そうすると、一人では成し遂げられなかったことを成し遂げることができるのではないか、と期待している。

 だけど、学校現場はなかなかチームになれない。もっと言うと、教師はチームになれない。そんな思いや考え等を論考としてまとめたものもあるので、よければご覧ください。

kyousituchallenge.hatenablog.jp

  特に小学校は、チームになれてないように感じている。なぜなら、小学校の教員は、個人の力が試される世界だから。どんな仕事も学級担任一人でこなし、オリジナリティのある実践を開発するようなスペシャリストも数多くいます。そんな業界に身を置いていたこともあって、僕も小学校教員になってすぐの頃は自分のスキルをどう伸ばして、「いかに個人の成果をあげるか」ばかりを考えていました。

 だけど、上記したようにそれでは善くないのではないだろうか、と考えるようになった。また、一人だけの力では限界を感じることも増えました。

 小学校の教員がチームになるためには、まず一人でこなしている仕事量や一人でできると思っているマインドをほぐしていく必要がある、と感じている。

 このような課題意識を持っている時に出会ったのが、今回紹介する「自分でやった方が早い病」という本。題名を見た時に、「これは読まないといけない」と感じたほどだ。

 少しになるが気になった箇所を引用してみる。

自分でやった方が早い病を克服する、ということは、「自分の力だけで自分だけが成功する」のではなく「みんなの力でみんなで幸せになる」ということなのです。

多くの人が「任せる」の意味を勘違いしています。だからこそ、人に「任せる」ことができずに「自分でやった方が早い病」にかかってしまうのです。

①「任せる」は失敗が前提

②「任せる」は、「丸投げ」ではない

③他人に任せても楽にはならない

  「自分の力だけで自分だけが成功する」のではなく「みんなの力でみんなで幸せになる」というのは、「チーム学校」を考えていく上では大切な視点なのではないだろうか。

 もちろん、これからも教師一人ひとりの力量を上げていくということは大切になる。でも、一人だけの力で得られる成功だけでは不充分だろう。それだけでなく、みんなでささやかな成功を手にし幸せになる、ということを考えないといけないだろう。

 そうは言いながらも、なかなか「自分でやった方が早い病」を治すのには時間がかかるだろう。まずは、「自分でやった方が早い病」にかかっていることを自覚したい。自覚症状がなければ治すこともできないから。

 この本を読んで、まずは自覚しましょう。気づきがあると、きっと変わることができるだろう。そして、みんなでささやかな幸せをつかみましょう。

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

  • 作者:小倉 広
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: 新書