小さな教室からの挑戦

小さな教室でのささやかな挑戦を書き綴ります。

夏休みに読みたい本

 さて、そろそろどの自治体でも夏休みに入ったのではないだろうか?

 せっかくの夏休みなのでゆっくりするのはもちろんですが、できたら二学期に向け、一学期の取り組みを振り返り、自分の教育観をバージョンアップさせたい。そのお供になるであろう本をいくつか紹介する。

 

①苫野一徳『どのような教育が「よい」教育か』講談社選書メチエ

  苫野先生は気鋭の教育哲学者である。苫野先生の論述には大きな刺激を受けている。このブログでも書評を書いたこともある。

kyousituchallenge.hatenablog.jp

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 さて、そんな苫野先生が本のタイトルにもなっているように、「どのような教育が『よい』教育と言えるか」ということを一から考え、論じた一冊である。

 一般的な教育書とは違い、少々読むのに骨が折れる。だけど、せっかく時間があるのだから、これぐらいの本は読んでもらいたい。読めばきっと、自分なりに「どのような教育が『よい』教育と言えるか」ということを考えたくなるだろう。

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

どのような教育が「よい」教育か (講談社選書メチエ)

 

 

②堀裕嗣『反語的教師論』黎明書房

  堀先生は、僕が注目している教育ライターの一人である。堀先生の論述にはいつも刺激を受けている。

 そんな堀先生の一冊である本書。堀先生が教職生活で経験したこから考えたことが書かれている。しかも、ただ書かれているだけではない。教育に対する堀先生の考えを挑発的に、また反動的に書かれている。

 読んでみると、きっとこの本が触媒となり、自分なりに教育について考えるようになるだろう。この夏、触発されてみてください。

反語的教師論

反語的教師論

 

 

③石川晋『学校でしなやかに生きるということ』フェミニックス

  著者である石川先生が、学校の中で感じたこと考えたことを書かれている。読んでみるとわかるのだが、いかに自分が「〇〇とはこういうものだ」と凝り固まった思考をしているということ。石川先生は、意図的なのか、自然なのかそんな凝り固まった思考に揺さぶりをかけてくる。そこで自分も大いに考えさせられる。

 そして、勘違いしてはいけないのだけど、この本を読めば、学校でしなやかに生きることができるようになるわけではない。こうしたら、こうなるよ、という類の本ではない。だからこそ、書名の最後に「こと」と付いているのである。石川先生自身も、学校でしなやかに生きるためにはどうしたらいいのか、ということを考え続けているのである。だから、この本を読んで一緒に考えてみましょう。

 この本の続編となる『学校とゆるやかに伴走するということ』が近々発刊される。こちらも注目したい。

学校でしなやかに生きるということ

学校でしなやかに生きるということ

 

  

④岩瀬直樹、中川綾『みんなのきょうしつ』学事出版

  岩瀬先生は「振り返りジャーナル」「教室リフォーム」等の実践で有名である。「振り返りジャーナル」について簡単に触れた記事もあるので、よければ参照してください。

kyousituchallenge.hatenablog.jp

  この本を読めば、岩瀬先生がされてきた実践について知ることができる。しかし、この本の核はそこではない。この本の核は「振り返り(省察)」が教師としての自分を成長させてくれるということ。っ少し長くなるが、岩瀬先生が書かれた前書きを引用する。

先生にとって「振り返りこそ、学び」だったのです。毎日、よかったことを言葉にして書くことで、「なぜよかったのか」の意味を考え、日常的に意識するようになり、その後に活かすことができました。ときには自分の失敗や思い込みがあらわになり、恥ずかしかったり、苦しかったりもしました。でも、そこに向き合うからこそ、人も成長できる。

 この本を読めば、「振り返り」の重要性を感じ、実際に振り返りをしてみよう、という思いを抱くであろう。
みんなのきょうしつ

みんなのきょうしつ

 

  

⑤深澤久『鍛え・育てるー教師よ!「哲学」を持て』日本標準

  この本は教師を始めた頃に出会い、とても影響を受けた一冊である。深澤先生が述べている「哲学」というのは、苫野先生が述べる「哲学」とは少し違う。「自分は~のような子どもを育てたい」という考えのことを「哲学」と述べている。

 当たり前のように思われるかもしれないが、これがけっこう抜け落ちていることでもある。さまざまな教育活動を行っていくが、「哲学」がなければ、ただただ流れていくだけになってしまう。それでは子どもを育てられない。だからこそ、教師は「哲学」を持たないといけない。そんな思いを強くすることができる一冊である。

鍛え・育てる―教師よ!「哲学」を持て

鍛え・育てる―教師よ!「哲学」を持て